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命のポイ捨て厳禁!!
2007.11.25

もう3年前になるだろうか、ファクトリーの前でお客様と立ち話をしていると、珍しく一匹の痩せ細った老猫がヨロヨロと目前を通り過ぎようとしているではないか。土地柄、野良猫が少ないエリアなだけに、思わず目が留り、ボンヤリ眺めていると目が合った。すると一瞬猫は立ち止り、何を思ったか進路を変更。こちらへ向かってゆっくりと歩き出す。「えっ、呼んでないのに?」そう思っているうちに、猫は足元に擦り寄ると座り込んだ。そして、こちらを睨み、顔をゆがめながら「ウンギャ〜」と大きな声で雄叫びを上げた。

その悲痛な表情から、腹がへっていることは直ぐに分かった。そこで、偶々あったフライドチキンの衣を取って与えると、バクバク食べる。飲み込むように食べる。「しばらく食べてないのかー」と声を掛けながら体を撫でると、またこちらを見上げて「ウンギャ〜」。年季の入った絞り上げる濁声だ。

仕草からして飼い猫であることは間違いないようでした。だから、不用意に人間に気を許してしまったのか。よく見ると体のあちこちに黄色いペンキを塗られており、怪我もしている様子。心身ともにボロボロでした。心無い悪戯にあったのかもしれないと、そう直感。また少し弱っていたこともあり、やむなく保護することにしました。すると、食欲旺盛、数日もすると徐々に体力は回復へ。そこで、汚れきった体を洗ってあげることにしたのですが、ここで驚く発見!!バスタブが真っ黒になるほどの奮戦後、何とピカピカのアビシニアンへ変身したのです。そこで、慌てて八方手を尽くし飼い主を探しに東奔西走することに。しかし、飼い主が見つかることはありませんでした。理由は後に分かったのですが・・・

実はこの猫はすでに病に侵されていたのです。だから捨てられたのかもしれない、そう思えるほど症状は深刻でした。それでも、滅茶苦茶性格のいい猫だっただけに、仮に捨てられたのだとしても、飼い主は苦渋の決断だったのだろうなと思いました。

私達はこの老猫に“チャコ”と名付けました。社員全員に愛され、闘病を乗り越え日増しに元気になっていく姿に、そして怯えを忘れ優しくなっていく表情に、また素直に甘える仕草にも、保護したつもりが逆に癒されたものです。しかし、そんな日々は長くは続きませんでした。一時はこのまま完治するのではと思ったこともあったほど元気になった瞬間もありましたが、しかし運命は・・・

あれから2年、ファクトリーにはチャコが育んだ命の絆でしょうか、猫との縁が私達に度々新しい出会いをもたらしています。写真は、最近ファクトリーに居ついた“チビ”です。人に慣れた様子から捨て猫であることは間違いなく、ノラで生きていけるほど逞しくもなさそうなので、またまた里親探しをしました。すると運良く素晴らしい飼い主が見つかったのです。ですが、里親探しをして改めて驚いたことは、インターネット上では沢山の捨て猫、飼いきれなくなった犬達が、日々里親を求めているという事実でした。

言うまでもなく、動物はモノではありません。個々に喜怒哀楽があります、信頼関係、そして愛情ある生活環境が必要なのです。ですが今、一部の人間の身勝手さに動物の心と体が翻弄されているようです。

これは、大いなる問題であり、今すぐ解決しなければいけないと感じました。ではどうすればよいのでしょうか。僕は思います、まずは出来ることからやる。身の回りの生き物に対して優しく接すること、生態系、環境へ配慮すること。そして、動物を飼うと決める時には、一生共に暮らす覚悟を持ちたいものです。時には彼等を少し厄介に感じることもあるでしょう。だとしても、野良猫一匹とて、人間の都合で動物の生活を脅かすべきではありません。何故ならば、地球は人間だけのものではないからです。

最後となりますが、チビを引き受けて頂いた里親様。心より感謝しております。一ヶ月あまりチビと過ごして分かったことですが、彼女はとても素直で甘えん坊な猫です。とはいえ、この先、時に悪戯をするかもしれません。病気になって面倒を掛けるかもしれません。でも、チビの貴方への信頼は生涯揺るぐことなく、何よりも代え難い家族となることだけは保障できます。どうか末永く可愛がって上げて下さい。宜しくお願い申し上げます。

chibi

チビー、新しい家族と幸せになるんだよ